ミステリー小説の金字塔『十角館の殺人』。
実写ドラマを観たことをきっかけに、原作小説も読みました。
ドラマと原作を続けて観たからこそ気づけた違いや、自分が特にグッときたシーンについて感想を書いていきます。
※ネタバレを含みますのでご注意ください。
「十角館の殺人」とは?

『十角館の殺人』は綾辻行人さんが1987年に発表したミステリーの代表作です。
ミステリー好きなら一度は耳にしたことがある有名作品です。
実写ドラマ版は2024年初めにHuluで独占配信され、大きな話題を呼びました。
私はTVerで配信されたときに視聴し、1話・2話を観た時点で「結末を知る前に原作を読みたい!」と思い立ち、そのまま原作小説を購入。
ドラマと原作を立て続けに楽しんだので、違いを鮮明に感じられました。
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原作にはいない人物|江南くんの住むアパートの大家さん

ドラマ版では、江南くんが住むアパートの大家さん(演:濱田マリさん)が1話から登場します。
原作には存在しない人物ですが、最終話で役割が明確になります。
友人6人を失ったことで事件を追う気力をなくした江南くん。
そこに大家さんが声をかけます。
「やるべきことはやらなきゃ。あとで後悔することになる。」
この言葉で江南くんは再び事件と向き合う決意を固めます。
「このために追加された人物だったのか」と腑に落ちました。
島田さんでも代役はできたかもしれませんが、島田さんは飄々としたキャラクター。
喝を入れる役割はしっくりこない。
だからこそ、大家さんという新キャラクターが必要だったのだと感じました。
ただ、そもそも原作では江南くんは真犯人が判明したあと登場しません。
事件後の落ち込みや立ち直りといった描写はなく、ドラマ独自の追加要素と言えます。
なぜ製作陣は江南くんを立ち直らせたか?
それはラストシーンのためです。
原作にはないシーン|ラストの江南くんの推理

クライマックスの海岸シーンも大きな違いがあります。
原作では島田さんと守須くんの二人だけですが、ドラマ版では江南くんも登場します。
江南くんの推理は外れていたものの、その言葉を聞いた守須くんは中村千織のことを思い出し、心が揺らぎます。
事件に対して直接「後悔している」とまでは描かれませんが、自分の中にあった確信が崩れかけているように見えました。
原作の守須くんは「事件がバレるかどうか」に意識が集中しており、人間的な揺らぎはほとんど感じられませんでした。
しかしドラマでは中村千織の悲しげな表情と重ねることで、守須くんの感情が動くシーンとして強調されています。
この違いは、ドラマならではの良さだと思います。
江南くんをラストに登場させたのは、守須くんの人間らしさを引き出すためだったのだと感じました。
最後に|原作をまだ読んでいない人へ

もし原作を未読であれば、ぜひ手に取ってみてほしいです。
特に「ヴァン・ダインです。」の一言は、原作の方があっさりと描かれている分、衝撃がより大きく感じられました。
『十角館の殺人』は30年以上前の作品ですが、今読んでも色褪せない傑作ミステリーです。
ドラマを観て面白いと感じた方には、ぜひ原作をおすすめしたいです。
さらにHuluでは「館シリーズ」の他作品のドラマ化も決定済みです。
これをきっかけに、ほかの作品も読んでみようと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
皆さんのドラマ感想や原作との違いに関する意見も、ぜひコメントで教えてください。
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