『絶望名言』(頭木弘樹 著)を読みました。
最初に出会ったのは2019年。
書店で偶然見かけて「絶望名言?」という聞き慣れない言葉に惹かれ、衝動買いしたのがきっかけです。
最近になって再読しましたが、改めて読んでよかったと思える一冊でした。
一見ネガティブな名言集なのに、不思議と背中を押されるような感覚があります。
特に以下のような方におすすめです。
- 落ち込んでいる人
- 人生が思うようにいかないと感じている人
概要|なぜ「絶望的な言葉」が救いになるのか?

本書では、ドストエフスキーやカフカといった偉人たちの“絶望的な言葉”が紹介されています。
なぜわざわざネガティブな言葉なのか?
それは、落ち込んでいるときに支えになるのは必ずしも前向きな言葉ではないからです。
著者の頭木弘樹さんは大学時代に大病を経験。
「人生これから」という時期に突如として希望を失いかけたそうです。
そのとき救ってくれたのは、明るい言葉ではなく「暗い絶望的な言葉」だったと語っています。
確かに、失恋したときに失恋ソングを聴いて共感するように、ネガティブな時期にはネガティブな言葉の方が心に響きます。
前向きな言葉を無理に受け入れられない時でも、「絶望名言」にある言葉ならそっと寄り添ってくれるのです。
印象に残った名言|ドストエフスキー「どんな生き方でも、生きていられればいい」

特に印象に残ったのは、ドストエフスキーの言葉です。
もしもどこかの山のてっぺんの岩の上に、 ただ二本の足をやっと乗せることしかできない狭い場所で生きなければならなくなったとしても
〜中略〜
一生涯、千年万年、いや永久にそのままとどまっていなければならないことになったとしても それでも今すぐ死ぬよりは、そうしてでも生きているほうがましだ!
生きて、生きて、ただ生きていられさえすれば!
たとえどんな生き方でも ただ生きていられさえすれば良い!
最初は「そんな極端な状況あり得ない」と感じました。
しかし考えてみると、大きな病気で体が動かなくなり、寝たきりになった時の状況に似ていると思いました。
ドストエフスキーはそんな状況でも生きるべきだと言っています。
この背景には、ドストエフスキーが死刑判決を受けた過去があるからだと思います。
執行直前に恩赦で助かった彼だからこそ「生きてさえいれば」という価値観に辿り着けたのだと思います。
この言葉を読んで、正直今でも自分は「どんな状況でも生きるべきだ」と思えません。
しかしそれは「死」がまだ自分の身近にないからだと気づきました。
もし直面したら、この言葉の重みを実感するのかもしれません。
こんな人におすすめ

- 落ち込んでいる人
- ネガティブな気持ちを共有したい人
- ポジティブな自己啓発本がしっくりこなかった人
- 一味違う名言集を探している人
まとめ|絶望的な言葉に、不思議と勇気づけられる

「絶望的な言葉」というユニークさに惹かれて手に取りましたが、読んでみると心に残るのは“安心感”でした。
絶望の言葉に寄り添われることで「大丈夫、まだやっていける」と思えるのです。
頭木弘樹さんは続編の『絶望名言2』や、カフカに焦点を当てた著作、自身の病気体験を綴った本なども出版しています。
どの本も「落ち込んだ人に寄り添う」姿勢が一貫しているように感じました。
もし今、気持ちが沈んでいるなら『絶望名言』を手に取ってみてください。
新しい視点で心が軽くなるかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございます!
感想やコメントをいただけると嬉しいです。


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